東京近郊で、木組みと土壁の家づくりを実践しています。

2010年09月10日

2010年・夏の思い出

 9月に入り、台風が運んできた雨のおかげで、しばらくぶりに熱帯夜から開放された。日の出は遅くなり、日の入りは早くなり、朝夕の風はしのぎ易くなっている。あわてなくても、秋の気配は確かにそこまで来ている。ただ、金木犀の香りやヒガンバナの花を愛でるのは、今年はもう少し先になると聞いている。

 今年の練馬区は、8月中旬の気温37度、38度報道ですっかり暑い特異地区として有名になってしまったようだ。当事務所は周囲畑に囲まれていて、東京都23区内にあっては地表面温度は低く、風さえあれば室温32度湿度60%の室内環境で仕事ができる。ただ、昼ごろになると温度計は33度から34度を超え、窓を閉めてエアコンのお世話になることが、今年は少なくとも10日以上あった。東側と南側の窓に簾を下げて直射光をさえぎれば、室温が2度下がることは経験済みのはずなのに、ハシゴを掛けて簾を取り付ける機会をなくしてしまった。少しの努力で環境は変えられるのだから来年は簾を必ず掛けようと思う。

石田邸玄関土間.jpg

 8月最後の日曜日、千葉県君津市のご夫婦を、以前携わった埼玉県所沢市のI邸にご案内した。玄関通り庭と高床住居のこちらの住まいは、雑誌やテレビなどのメディアで度々紹介されている。朝から猛暑の日、改めて三和土で造った玄関土間の涼しさに感動した。
 聞けば、外が暑くなると土間の粘土の表面が結露するという。部屋の南側に葦ずで日除けの屋根を設けたり、アサガオで緑のカーテンを仕立てたりと、とにかくまめな夫婦であるが、エアコンなし生活を続けるこの住まいにあって、一番快適なのは玄関土間である。外気温より3度くらい低く感じられた。

 9月21日発売予定の、雑誌『住む』秋号では、畑仕事や日曜大工に取り組むこの夫婦の生活が紹介されることになっている。スイッチを押すだけで快適な生活を望むのではなく、自分の体を動かして住まいの改善を続けている若い夫婦には、いつも学ぶことがある。


加藤邸フレスコ画.jpg

 8月の月末、近くに住む加藤左官の親方の住まいの撮影があった。埼玉県所沢市にあった店蔵を移築して住まいに改築したものであり、工事工程の詳細は当事務所のサイトに現場リポートという形でまとめた。10時からの撮影であったが、朝から35度近くありそうな日だった。今年で77歳になる親方は今も現場に出て指示をしているが、さすがにこの夏は熱中症気味になって調子が悪いらしい。

 室内はエアコンが効いていて涼しい。壁厚24cmの土蔵の室内は、冷却を続けていると壁が冷えてエアコンを切っても涼しいらしい。土壁の蓄熱機能が働いているのだろう。逆の作用は冬でもあり、壁が一度温まれば比較的快適な室温を保つことができる。

 一方、二階は暑いと聞いている。屋根が二重になっている置き屋根形式の土蔵は、屋根瓦・野地板などの輻射熱が室内に伝わることのない構造だが、高さの法的制限やもとの店蔵の形もあって、移築の土蔵造りの住まいは置き屋根にはしなかった。「土蔵の二階は暑い」といわれる通り暑いらしいが、エアコンなし生活でしのいだのだから、死ぬほどではないのかもしれないと思ってしまう。当日、少なくても自分には、不快な暑さは感じられなかった。北海道の雄大な大地を描いたフレスコ画の緑や空が、室内に涼を運んでくる気分にはなるのだが、熱帯夜の続く日本にはエアコンが必需品となってしまつたのだろうか・・・。

 2010年9月10日 高橋昌巳

 
posted by 高橋昌巳 at 19:20| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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